【完】さつきあめ〜2nd〜

「それは……」

やっぱりずるいわたし。
今日はさすがに双葉に出勤する気にはなれなかった。
昨日の事もあったし、何より朝日の顔を見たくなかった。双葉に出勤すれば、朝日に会う確率も、もしかしたら美月にさえ会う確率だってある。
誰にも会いたくなかった。
それに昨日みたいに息が吸えなくなるような事があるかもしれないと考えると不安になった。
ふと高橋の顔が浮かんだ。
光と色々あった時出勤するのが嫌で嫌でたまらなかった。それでもあの時のわたしは、休む事をせずに何とか気力で出勤したんだ。
高橋が弱かったわたしに活をいれてくれて。
あの時は出勤して本当に良かったと思った。けれど今のわたしはあの頃より弱くなっているのかもしれない。
なんだかんだ理由をつけて……。

「昨日のお前、本当におかしかったよ。
夕陽、もしかして過呼吸か何かなのか?」

「過呼吸…?
そうなの??昨日もだけど……お店でもああいう感じになったの
息がすごく苦しくなって、それって過呼吸なの…?ねぇ、あたし何かの病気なのかな?」

「…いや、そうとは言えねぇけど。
過呼吸ってスポーツとかしてでもなるものだし。
大体体の病気ではないから、安心しなよ」

体の病気じゃなかったら、心なの?
朝日と1番最初に暮らしていた頃、食欲も寝る事さえ出来なくなっていて、一時期心療内科にお世話になった事があった。
またあの時のようになるとしたら、それを考えるだけで頭が痛くなる。
わたしって何て心が弱いんだろう。

落ち込んでいる様子を察してか光が立ち上がって、明るい顔を見せた。