「さくらさん……」

わたしの言葉に、沢村は少しだけ悲しい顔をした。

「まぁ!順位をつけられる職業だから仕方がないんだろうけどっ!
さ、仕事仕事~!沢山飲むぞ~!」

「さくらさん」

VIPルームに入ろうとするわたしを、沢村は引き留めた。
何とも言えない苦笑いをしていた。

「僕も実はそう思ったりします。
でもね、どんな世界だって結局同じなんだと思います。
お昼の会社にだって派閥やいじめ、カーストなんてよくある話ですよ。それで自殺したりする人だっているのだから…
夜の仕事は特に感情が動きやすい世界だから、余計に多いのかもしれません。
けれどだからこそこの世界で築き上げた絆や情っていうものは、普通の会社より深いのかもしれない…」

「沢村さん……」

この世界に入って、わたしは沢山の出会いをした。
美優や綾乃、はるなだって。ゆいや凛も。最初は仲違いした、レイだってそうだ。
ぶつかりあっても、話し合って、互いを知れば、人との関係が変わる事だって知ってる。

「さくらさん、双葉に来てくれてありがとう…」

沢村のその言葉が、心に染みた。