信号で車を止めると、朝日はわたしの膝の上に何かを置いた。

「何？」

「開けてみろよ」

見覚えのある包み紙。
今日行った水族館でお土産を買った時と同じ包み紙だった。
それを開けて見ると、あのお土産屋さんで見ていたピンクのクラゲのキーホルダーだった。朝日が馬鹿にしていた。
朝日の顔を見ると、少し照れくさそうに車にぶら下がっていたキーケースを指さした。

そこにはお揃いの青いクラゲがゆらゆらと揺れていた。

「え！！何で？！」

「だって欲しがってたろ？お揃いがいいって騒いでたじゃねぇか」

「でも嫌だって……あんな高いキーケース持ってるのに…」

「たまにはこういうのもいいと思ったんだよ！全然俺のキャラじゃないけどな！
俺が女の趣味に合わせる事なんて滅多にないんだから光栄に思えよ」

信号が青に変わり、車が走り出した。
正面を向いた朝日の口元が僅かに笑っていた。
わたしはすぐにピンクのクラゲを鍵にぶら下げて、朝日に向かって見せた。

「最高！可愛い！ありがとう！」

「お前にはもっと高級なもんいくらでも買ってやれるんだけどな…
お前そういうの喜ばねぇじゃん。
いつかもピンキーリング買ってやったのに、突っ返してきたからな」