次の日、わたしは携帯の電源を久しぶりにいれた。
すごい数の着信とラインの数。
見慣れた人たちの心配の気持ちは十分に伝わって、ひとりだと最初は思っていたのに、わたしは自分が思っているより誰かに必要とされていると感じた。
向き合った先にあった言葉たちは、優しいものばかりだった。
ひとりひとりに丁寧に返信をして、謝罪をした。
これで切れてしまうお客さんもいて、当たり前だと覚悟していた。
過ぎていた時間は取り戻せない物ばかりなのだから。
そして、ふたつ、自分で決めた事があった。
誰かに流されてではなく、自分自身で決めた事。
ひとつめは私は、この想いを自分の胸の中に秘めていく事だった。
そして、もうひとつは前とは違った気持ちで、七色グループのナンバー1を目指す事だった。
人は何故、誰かの為じゃなきゃ目標を課すことを出来ないのだろう。
わたしが七色グループでナンバー1を目指したのは、さーちゃんへの想いと朝日への復讐心故だった。そして光に恋をして、光との恋を守りたくて、光の為にナンバー1であろうとした。
そして今は、七色グループを守るためと、朝日の夢を守るため。…朝日の為だ。
この1年半で、こうまで気持ちと目指す指針が変わってしまう事。変わらないと永遠だと誓ったはずの気持ちがこうもあっさりと変わってしまう事。何かを選び取るという行為は、枝分かれする未来の何かを捨てるという行為と同義であるという事。
捨てたくなんかなかった。



