クラゲの専用のブースのイルミネーションが点滅をして
イルカのショーでは1番前に座って、水をかけられた。
わたしの横にはいつだって笑顔の朝日の姿があった。
「あたし、水族館でクラゲが1番好きかもしんない…」
ぽつりと呟くと、朝日は目を輝かせてこちらを見つめた。
「マジで?!俺も1番好きかも…。
つーかクラゲなんて季節外れの海に行って刺されるってイメージしかなかったけど
ああやって大きな水槽で色々な種類のクラゲがぷかぷか浮かんでると、それだけでどれだけだって見てられるような気がして不思議だな」
「そうそれ!!
何か癒されるよね~!ふわふわ浮いてるだけなんだけど…」
「あいつらからマイナスイオンが出てる!!」
「あはは!マイナスイオンって!」
「でも、俺は、お前が隣にいてくれるからただ単純に楽しいし、癒されるのかもしんねーけど」
目の前の青い水槽をじぃっと見つめて、真剣な目で朝日は言った。
こんな言葉を、よく恥ずかしげもなくさらりと言えたもんだ。
わたしなんかよりずっと素直な人だと思う。
水槽に手を充てると、じんわりと冷たい。
それでも隣で手を繋ぐ人のてのひらは、暖かい。
「あたしもかも」
そう言ったら、こっちを向いて優しく笑う。
繋いだ手をぎゅっと強く握ってくれた。



