【完】さつきあめ〜2nd〜

付き合って見て、新たに色々と分かった事がある。朝日は家事全般を意外と簡単にこなして、進んでそれをしてくれるような人だった。ずっと俺様な人だと思っていたけど、思っていたよりずっと優しいし、わたしを気遣ってくれる。

毎日のように朝日の家に来て
朝日と一緒にご飯を食べて、同じベッドで眠りに着く。
優しい朝日の腕枕で目を覚ますとき、こんな幸せがこの世界にあるのかと、ふと不安になる時がある。
ずっと幸せが続く事を願っていた。ずっと続く幸せなんてものがこの世にあるのかと疑問に思いながら
けれど幸せは、お互いの努力の上で成り立っていくものだったよね。
前に進むという事は、戦うという事。
この時のわたしは、戦う事より、守る事を選んでしまった。それが最初から、大きな間違いだった。

「わぁあああああ!!!朝日見て見て!!」

「すっげぇ!!すっげぇな!!おいさくら、あれ見ろよ!」

その日わたしたちは午前中から眠たい目を擦り起きて、都内にある水族館に来ていた。
…都内にこんな場所があるなんて。
わたしが住んでいた場所はもっと田舎で、ビルの中にある水族館なんて想像も出来なかった。
けれど昔見た水族館よりも、わたしの目にはずっと綺麗に映った。

アーチ形の道の中で魚たちが気持ちよさそうに泳いでいた。

「あれ、ニモかな?!」

「絶対ニモだよ!!ちょ~可愛い~!」

「なー!めちゃ綺麗だし、超感動する!水族館っていいな!」

子供のようにはしゃぐ朝日を見て、ふと思う事がある。
こうやって光とどこかへ出かけた時は、はしゃぐわたしを光が優しい眼差しで見ていた。
でも朝日はわたしと同じように、いやそれ以上にはしゃいでいて、ふたりでいつまでだって笑いあえていた。
わたしと朝日はもしかしたらすごく気が合うのかもしれない。