「そういえば今日同伴で出勤してきた時佐竹さんがいたよ…。
あたしに美月ちゃんの事聞いてきた」
「あぁあのストーカーね。本当に困ってるんですよ」
「そんな言い方ないよ。佐竹さん…美月ちゃんの事本当に心配してたし」
「だってこの仕事してたら遊びって割り切ってもらわないと困りますよ。
さくらさんだってあたしの気持ち分かるでしょ?あたしたちキャバ嬢は時間内で幸せを売ってるだけで、お金なんて貰えなかったら佐竹なんかと一緒にご飯食べるのも嫌なのに…」
「美月ちゃんの言ってる事分からなくはないよ…。
だからこそ誠意をもって接しなきゃいけない事ってあるんじゃないかな?」
「誠意ってなんですか?」
わたしの言葉を、美月は鼻で笑う。
「結局やってる事は同じじゃないですか。
お客さんにお金を払ってもらって給料をもらってる。
お金に綺麗も汚いもないし、ここで働いてる誰もがあたしに説教をする資格はないですよ」
美月の言う事は最もかもしれない。
わたしにだって偉そうに言う権利はない。
それでもあの佐竹の切羽詰まった顔が怖かったし、美月自身が心配でもあった。
「ほんと……誠意ってなんだろね。
結局この仕事やってるなら、少なからず嘘をついてる部分だってあるし
…騙してるって自覚はあるのにね」



