「さ、佐竹さん、落ち着いて…」
あの穏やかで、ずっと美月を見続けてきた真っ直ぐな眼差しは、いまは怖かった。
「さくらちゃん、美月ちゃんと連絡とれるよね??
何とか会えるように言ってくれないかな」
「痛っ……」
わたしの肩を掴む、佐竹の腕の力が強くなって、思わず声を上げてしまった。
同伴してくれたお客さんが、それを制止するように佐竹の腕を掴んだ。
「なんだ、君は
警察を呼ぶぞ?」
「っ………」
その言葉にを振り切るように佐竹は走ってどこかへ行ってしまった。
「さくらちゃん、だいじょうぶ?」
「だいじょうぶです…、ありがとうございます…」
「あの人誰?お客さん?」
「お店の女の子のお客さんで…出禁になった人で…あたしもヘルプに着いた事があって何度か話した事があるんですけど…」
「マジか…。なんか雰囲気やばそうな人だったよね。今はストーカーとかそういう事件もあるから気を付けた方がいいよ…」
「ほんと…ですよね…」
今までに見た事のなかった佐竹の様子に、怖くなった。
美月は一体だいじょうぶなのだろうか。
強く肩を掴まれた瞬間、怖いと感じてしまった。
まるでわたしの知っている佐竹ではないような。
お店に着いて、既に指名のお客さんが何組か来ていて
同伴してきたお客さんはヘルプとして美月が着いていた。
最近の美月はわたしの卓のヘルプでも嫌がることなく、楽しそうに笑顔で接していた。
そんな様子の美月を見て安心して、違う卓の指名席へ向かった。



