【完】さつきあめ〜2nd〜

カーテンの隙間から夕陽が差し込んできて、現実に引き戻される。
どれだけの時間抱き合っていたのだろう。飽きずに何度もわたしを求める朝日が愛しくて、時間を忘れてしまうくらい。
この人の胸の中にずっといたかった。

慌てて飛び起きたわたしの腕を、朝日が掴む。
掴んだと思ったら強く強く引き寄せられる。

「仕事なんて行くなよ。
ずっと俺のところにいて、俺の物でいてよ」

甘い匂いに抱き寄せられて、それもいいかなと錯覚してしまうほど甘ったるい時間が流れていく。
よくも飽きずに抱き合っていれる。そうやって数分の時間が流れて、はっと我に帰る。

「だめですだめ~!!
仕事は仕事~!!はいはい離した離した~」

「ちっ。何だよ」

無理やりにでも解かなければ、このまま朝日の胸の中で全てがどうでも良くなってしまいそう。
そんなの駄目だと頭では分かっていても、自分で思っている以上に朝日の事が好きで好きでたまらないのだ。
ベッドサイドに投げ捨てられた服を手に取って、そんな甘ったれた自分を奮い立たせた。
朝日はまだ文句言っていたけれど立ち上がって、腕を引っ張られてお風呂場まで連れていかれた。

一緒にお風呂に入って、体も洗ってくれて、意外にも朝日は尽くすタイプの人なんだと思った。
優しいのなんてずっと昔から知っている事だったのだけど。

家まで送っていく、と車のキーケースを持って言った。