「あ~…佐竹さん?なんかめっちゃ連絡来てましたね~!
何かもうお金ないみたいだし、お店には来れないけど、お店以外で会おうとか言われたんで、切っちゃいました!」

ペロッと舌を出して悪びれもなく言う美月に、少し苛立ちを感じた。
…あんなに美月の事を心配していたのに

「え?!すっごく心配してたよ?連絡くらいはちゃんとしてあげたほうがいいよ」

「ん~…でも何かストーカーになりそうで怖いし、さっきも沢村さんに言っておいたんですけど、お店に来ても出禁にしてもらうよぉに伝えました!!きゃはは!!」

「出禁って………だってなんかされたわけじゃないでしょ?」

「何かされた後だったら遅いじゃないですか?
あたしが休んでる間にさくらさん指名で会いに来てたみたいですね。すごーくうざいですよね。なんか迷惑かけてすいませんでしたっ!

あー!るなー、そのお菓子なに~?あたしも食べる~!!」

話の途中で、美月はるなと愛の方へ行ってしまう。
開いた口が塞がらなかった。
ストーカーになりえそうなタイプでは確かにあったけれど、あの佐竹が美月に危害を加えるような事はしないと思ってた。
それなのに勝手に出禁にしてしまうなんて。美月の事を心配していた佐竹の顔を思い出すと、心が痛む。

美月はなんら変わらず双葉に出勤してきて、愛やるなとも仲良くしていたけど、他のキャストたちからは白い目で見られていた。

「あんな事があったのによく出勤してこれたよね」

そんな陰口が美月に聞こえるように更衣室内を飛び交っていたが、美月はそんなの気にする素振りも見せずに、笑っていた。