このラウンジRというお店に朝日がよく来ているらしい。
そして美月も通ってるらしいと愛から情報を聞いて足を運んできた。
もちろん今日佐竹の件があって、美月と話がしたかったし、朝日ならもしかしたら美月の事を知ってるかもしれない。
でもそんなのただの言い訳で、朝日に会いたかっただけかもしれない。

さっきから心臓がばくばく忙しなく動いていて、足は震えている。
カウンターの怪しげな男からビールを受け取って、それを一気に流し込む。

さっきから数組の男女が楽しそうに顔を見合わせて、笑いあっている。やっぱりこういう空気には慣れない。

暗くていまいち人の顔がよく見えないし、朝日と美月らしき人は見当たらないし
深いため息をついて、カウンターのテーブルに視線を落とした時、だった。

「ひとりで来てんの?」

わたしの隣に、同い年くらいの金髪の男の子が座って、馴れ馴れしく話をかけてきた。

「え?」

「君、君」

そう言って、わたしと視線を合わせる。

いかにも夜の世界の人間といった容姿をしていた男は、レイに無理やり連れていかれるホストクラブにいそうな男に見えた。

「あー…ひとりっすね…」

気のない返事をすると男は前のめりになって、わたしの顔を覗き込むようにじぃっと見つめる。