「え?!だいじょうぶなんですか?!」
ローン会社に入っていくのを誰か見た、そんな噂は聞いた事があった。でもまさか、本当にそこまでしていたなんて。
「正直だいじょうぶではないけれど…何とか返せない額ではないと思うんです…
でも今までのようにお店に通うのはきつくって…それを美月ちゃんに言った後にいなくなってしまったから…
もしかして僕のせいで、美月ちゃんを追いつめてしまったのかなって…」
それは違う。言葉にして言いたいほど佐竹の目は真剣だった。
真剣に、美月を心配していた。女神だと言っていた。彼にとって美月は誰にも代えがたい特別な存在なのだろう。
答えは出せなかった。
何かを言うことも出来なかったし、余計な事を言って、これ以上混乱させたくなかった。
何も情報を聞き出せなかった佐竹は肩を落として1セットで双葉を後にした。
一体美月はどこに行ってしまったのだろうか。
その日の営業終了後、愛から聞いたとある場所にわたしは足を運んでいた。
そのお店はどちらかというとクラブ寄りの造りになっていて
騒がしい音楽と、暗めの照明。週末という事もあってか、混みあっていた。こういうお店には来た事がないし、好んで来ようとも思ってなかった。カウンターでお酒を作る強面の男を見た瞬間、一気にここへひとりで来た事を後悔した。こんな事ならレイでも誘えば良かった。



