「あの…」
「さくらさん、美月ちゃんと連絡とれない??
3日前くらいからぱったりと連絡がなくなって…お店に来ても休んでるとしか言われないし
僕……本当に美月ちゃんが心配で!!なんかあったんじゃないかって!!」
心なしか、佐竹の目は血走って見える。
前みたいに、穏やかに微笑んでいる佐竹ではない。
「あたしも…美月ちゃんの連絡先は知らないし…お店以外では付き合いがないので…詳しい事は分からないんですけど…」
その言葉にがくりと肩を落とした。
胸が痛い。連絡が取れなくなって、美月になにかあったと心配している人を前にして、本当の事なんて言えやしない。
「実は僕…何日か前に美月ちゃんにお店に来れなくなるって言ったばかりなんです…」
「え?!そうなんですか?!」
「はい…。恥ずかしい話なんですけど…僕もただのサラリーマンで…
今まで貯めていた貯金を切り崩してお店に通っていたんですけど…その貯金も底をついてしまって…」
「あぁ…」
やっぱり。あれだけ羽振りは良かったけれど、どう見ても普通のサラリーマンにしか見えなかった佐竹。
ずっと独り身なのだから、貯金は相当あったのだろう。けれど毎日のように美月と同伴して、高額なボトルをおろしていたのなら、貯金なんてあっという間になくなるだろう。
「でも…美月ちゃんはものすごく困っていて…僕しか頼りになる人がいないって
ほら、彼女両親がいないから…。だから美月ちゃんに言われた通り、お金も借りてしまって」



