「ヘルプって言うか…今日だけはさくらさんを本指名したいって言ってるんですけど…」
「えぇ?!誰のお客さんですか?他の女の子の指名なら後で揉めたりしたくないから着きたくないんですけど…」
「美月さん指名の、佐竹さんなんですけど…」
「佐竹さん?!あたし指名なんですか…?」
「はい。美月さんがお休みなのは伝えてるんですけど…昨日と一昨日も来ていて…
今日もお休みだって伝えたら、ならさくらさんを指名出来ないかって」
何となく嫌な予感。
美月の事だ。お客さんの連絡も無視している事だろう。
そして佐竹は、美月と自分が付き合ってるって本気で信じ込んでいる。
それでも指名は指名で、仕方がなくわたしは佐竹の卓に着くことになった。
「お邪魔します!佐竹さん!お久しぶりですね」
「あぁ…なんか忙しそうなのにすいません…」
見るからに浮かない顔。
こうなってしまう理由も分からなくはない。
もしもわたしが誰かと付き合っていて、その人にいくら連絡をしても返ってこないのなら不安にもなる。
けれど美月は彼となんか付き合ってる気はなくて、どうでもいいお客さんのひとりなんだろう。



