「あ、会長じゃん。珍しいね
さくらちゃん?」
視線の先に、由真と朝日がいる。きっと仕事の関係の話で双葉に来ただけだと思う。…けれどその隣で、美月が親し気に朝日の服の袖を引っ張っている。
どうして?何で?そんな言葉が頭をこだまする。
「会長~!!あたし双葉でナンバー1になったって~!!」
「はいはい、すげぇな。本当にありがとう。
ってお前、離せよっ!うぜぇ!」
朝日は鬱陶しそうにくっついてくる美月を振り払っているけど、美月はそんなの知らん顔で、朝日へと笑顔を向けていた。
嫌だ…止めてよ、触らないで。そう思うだけで何も出来ないわたしに、レイは心配そうに顔を覗いた。
レイはわたしと朝日の間にあった事をよくは知らない。でもわたしが光を好きではなくなった事はわかっていて、お店の噂やサイトにまで書かれているのだから、わたしと朝日の間に何かがあったのなんか、きっと誰もが口に出さなくても気づいているのだと思う。
「約束だったじゃん!
ナンバー1になったら、ご飯に連れてってくれるって~!」
「わかったって!うっせぇな!」
「じゃあね、あたし焼肉がいい~!!またラインするからね!!」
「はいはい。てか今由真と話してるから邪魔だっつの!!」
「はぁ~い!!会長の為に頑張ったのに冷たいなぁ~」



