【完】さつきあめ〜2nd〜


ナンバー1を奪われた事は確かにストレスになっていた。けれど、先月の終わりから、もうひとつのストレスがわたしを悩ませている。

インターネットの画面を開いて、更新。またひとつため息がこぼれていく。

覗いていたサイトは夜の仕事の噂話と言った悪趣味なサイト。
ホストやらキャバ嬢。風俗嬢の名前やお店のスレッドが上がって、そこには面白おかしく色々な噂が書き込まれていた。

この手のサイトがあるって事はこの仕事を始めた頃に誰かから教えてもらっていた。
勿論わたしが七色グループに入る前から、うちのお店のそれぞれのスレッドがある。
わたしだって色々書き込まれた事がある。嘘だったり、真実だったり、誰が書いているかは分からない匿名の掲示板。
わたしは見なかったし、気にした事がなかった。
けれどこの数ヵ月、双葉のスレッドでわたしの名前が頻繁に出ていた。しかもそれは悪意に満ちている書き込みばかりだった。

「さくらは整形」

「さくら枕だよー俺やりましたー」

「さくら性格悪い」

「さくらに騙された。この嬢は指名しない方がいい」

もう何が何だかわからなかった。
わたしは整形もしていなかったし、枕もした事がない。それは嘘だ。
けれど誰かから見れば、わたしは性格が悪かったかもしれないし、騙したつもりはないけど、本人が騙されたと思えば、それは騙した事になるのだろう。