「やだー…。さくらちゃん、そんな落ち込まないでよー…」
「だって…まさか美月ちゃんに負けるとは思わなかった…。
別に自分に過信してたわけじゃないけど…。
美月ちゃん未経験だよ?まだ入って3ヵ月なのに…」
「そういう日もあるよ…!それに女の子たちも言ってたけど、美月の営業って色恋じゃん。
色恋も枕もやってたレイが言えた事じゃないけど…そんな風に掴んだお客さんなんてきっと続かないよ…」
「…うん」
色恋だろうが枕だろうが関係ない。
勝ったものが絶対な世界だ。
容姿も年齢も経験も何も関係ない。勝ったものが上に立って、負けたものが下を行くだけ。
ため息をつきながら、携帯の画面を触る。
ラインのメッセージを確認した後、とあるサイトにアクセスした。
そこでまた大きなため息が出た。
隣でレイが化粧をしながら「よくないよ、そういうの」と言った。
その顔は困っていたようにも見えて、同情しているようにも見えた。きっとレイには、今のわたしの気持ちが痛い程分かるだろうから。



