ただの若さだというのだろうか。
全てを敵だと思って生きているような、けれどどこかに憂いがあるような大きな瞳が真っ直ぐとわたしを見つめる。
下らない、と言い捨てるほど、美月はいつも何かに対して怒っているような女の子だった。
「さくらさんって、本当に貧乏な生活って送った事あります?」
「…ないけど」
だってわたしは両親も健在だし、小さい時から不自由のない生活を送ってきている。
「どん底まで落ちたら、人って何でもしますよ。
あたし、幸せに育ってきたり生きてきた人たち、嫌いなんですよ。
そういうの全部壊したくなる」
「あー疲れたぁ」
美月と話していると、レイが更衣室に入ってきた。
不穏な空気を感じ取ったのか、レイは怪訝な顔をしてわたしと美月を見つめた。
「どーしたの?」
「じゃあ、お疲れ様でしたー」
振り切るように話を切り上げて、美月はわたしたちの顔を見ずに更衣室から出て行った。
「なになーに?美月に何か言われた?」
「いや…大した事は言われてないですけど…。
美月ちゃんあたしの事嫌いかも…」



