【完】さつきあめ〜2nd〜


「見て見て!これ唐沢社長が買ってくれたの!!」

「またぁ~??美月この間も指輪買ってもらってたじゃん」

「でも可愛いねぇ~!これ新作でしょ~?いいなぁ~」

更衣室から、機嫌の良さそうな美月の声が聞こえてきて、それを囲むように愛とるながいる。
女子高のノリの良いに仲の良い3人だったけど、美月は愛とるなとは違って、先輩たちとはつるもうとはしなかった。
むしろわたしたちには好戦的で、そんな美月が苦手な人はひとりやふたりではなかった。

美月の細い指に、煌びやかな光りを放つ石が光っていた。
彼女は、そういう営業だった。誰に教えられたとかではなく、そういう性分なのかもしれない。
出会ったばかりのレイと少し似てる。お客さんとの距離も近め。周りもドン引きするほど、色恋営業だった。
それも、いつもゲームを楽しむように。

そんな美月のお客さんの中に、佐竹さんという男性がいた。

佐竹は見た目も冴えなくて、お金を持ってるようにもとても思えない30代後半の男だった。
最初は会社の上司に連れられてやってきたのだけど、美月の指名のお客さんになった。
独身とは言っても、とても自由に遊べるお金があるほど裕福そうな人には見えなかった。
けれど、先月レイを抜いたのはこのお客さんのお陰と言ってもいいほど、佐竹は美月に忠実なお客さんだった。