「それにあの子、出会った頃のゆりに何だか似てんのよね」

そう、美月はゆりに少しだけ似ている気がした。
その人を包むオーラとか、強い眼差しとか。
そしてゆりに似ていると言う事は、朝日の好むタイプの女であるという事だ。
手放してなお、いつもでも自分を好きでいてほしいなんてなんて身勝手な話だ。時間は流れて、人は出会う人によって、気持ちも変わる生き物。
わたしだって、そうだったじゃないか。変わりたくない。どれだけ祈っても、気持ちが変わっていくのは自分自身で痛い程分かっている。

「ゆりさん~?」

「そう、ゆりも出会った頃超生意気なクソガキでさぁー…。
何で下らない先輩に敬語とか使わないといけないんですかぁ?とか
自分より売り上げ上げてない人なんか尊敬できません!とかハッキリ言って
今は随分丸くなったけど、敵を作るのなんか怖くないって感じだった」

「ONEも大変そうですね…」

「まぁ今はONEでは女王様だし、気分良く働けてるんじゃない?
まぁ今は意地で働いてるのかもしれないけどね」

由真の視線がちらりとわたしを見つめる。
思わずパッと目を逸らしてしまった。

「まーぁ!あんたたちもONEにもゆりにも負けない気持ちで仕事頑張んなさいよ!!
わざわざ宮沢さんに双葉も売り出すように頼んだんだからね!!
ONEだから、双葉だから、系列で1番になれないのは言い訳だからね!!」