「おはよぉ!るな!何真剣な顔して自分の顔見てんの?!」

「レイさぁん…何度やっても眉毛が納得いかないんですよぉ!!」

そう言って困った顔をしたるなの眉毛が下がっている。
透き通る肌に、大きな瞳がくりんくりんとしている、るなはお人形さんみたいな女の子で、愛とは正反対で天然でふわぁっとした性格のお嬢様みたいな子だった。
愛同様、るなもバイトで入ってきた女の子。愛と同じで昼間は違う仕事をしているらしい。

それぞれキャラが立っているふたりだったけど、わたしはこのふたりの事は全然苦手ではなかった。
むしろ良い子たちだとさえ感じた。

「おはよーございまーす」

甲高い声で、最後に更衣室に入ってきた女の子。
彼女はわたしたちを横目に軽く挨拶をして、るなの横に腰をかけて、煙草に火をつけた。
今日も栗色の髪をふんわりとした巻き髪にしていて、長い睫毛をぱちぱちとさせながら、ファンデーションのコンパクトを開く。

可愛らしいふたりと違って、どちらかと言えば大人びた子だったと思う。
白い肌につんとした高い鼻。猫みたいに吊り上がった大きな瞳。見る人が見れば、生意気な顔立ちだと思う。けれど、18歳の割には嫌な色気があって、美人だ。

それがこの新年度に入ってから入ってきたキャストの中で1番苦手だった美月だった。