【完】さつきあめ〜2nd〜


「はい…いまは体調もしっかり良くなってます!」

「でもさくらちゃんすっごく痩せたねぇ~!!

1ヵ月前に双葉で復帰したって聞いて安心してたんだ!
飲むのが仕事だけど、自分の体とよく相談してね、無理をしすぎたら良くないよ?」

THREEで働いていた頃はどこか胡散臭くて、そんなに好きではなかったけど、こうやって見るとお父さんみたいだ。
わたしは微笑みながら無言で頷いた。

「美優ちゃんのラストの日ってだけで大忙しなんだけど、これから会長がお世話になっている飲食店の社長さんと接待って事で来る事になってるんだよぉ!!VIPルームが空いてないからさ…もう僕胃がキリキリと痛いよ…」

「宮沢さんが…」

「あ、じゃあゆっくりしていってね!!
あ~大忙しだよぉ~…」

そう言いながら小林はフロアの中を小走りで去っていった。

何で今日と言う日だったのだろうか。朝日がTHREEにやってくる。朝日の顔を見たいと思っていた。そんな感情とは裏腹に会いたくないとも思っていた。

「おい…おい!さくら!」

ハッと気づいたのは、涼の大きな声が耳元で響いたから。
ぼんやりと全然違う事を考えていた。
朝日が来たら、どのテーブルに座るのだろう。
ちょうどわたしたちの視界から見えるテーブルが空いている。一体誰を指名するのだろう。仕事で来るって言ったっけ。朝日はわたしに気づいてくれるだろうか。そんな馬鹿みたいな事ばかりが脳裏をかすめる。