「あぁ、俺綾乃と付き合ってんだ」
涼は顔色ひとつ変えずにさらりと言った。
「えーーーーーー?!!!」
狭いVIP内にわたしの叫び声だけがこだまする。
涼と綾乃が?
少し離れて隣同士に座るふたりは、わたしからして見ればえらく対称的で、大きな口を開けてあくびをしだす涼と、わたしたちから顔を逸らして真っ赤になる綾乃。
「え~?さくら知らなかったっけ?あたし言わなかった~?だから今日涼くん誘ったのかと思ったよ~?」
何も聞いてない…。
「さくらが驚くのもわかるってー!まさかあのクールな綾乃様が選ぶ男が…まさか…ホストかぶれの男なんて…しかも年下だし…
こんなちゃらついた男じゃなくて、綾乃さんはもっと大人な男と付き合うと思ってたわ…」
「うるせーなー、お前の好きな深海だってちゃらついてるだろが」
「はぁ?!深海さんはあんたみたいな馬鹿な髪色じゃないし、スーツが似合うし、大人な男だから!!」
「はいはい、キンキン声うっせーよー…。
お前も片思いなんて顔に似合ってねぇんだから、さっさと告白して振られろ」
涼の暴言に、はるなは無言のままメニュー表で頭を強く殴った。



