「あぁ、ごめん。涼から聞いてから知ってたけど?
だから深海さんが特別に無料でVIPルーム開けてくれてたんだけど、なんか美優が知らないふりしようとしてるみたいだから、聞き流してたけど…」

会った早々綾乃はそう言った。
勿論はるなも綾乃から話は聞いていたようで、わたしたちのサプライズは失敗に終わった。

「あ~!そぉだよね!さくらから涼くんも誘ったって聞いたから、うっかり涼くんが言っちゃわないかと思ってたけど~…
そりゃそうだよね~…」

「何かわりぃな…。
綾乃たちにも、さくらたちにも…。てっきり普通に行くものだとばかりに思ったから。
この間仕事終わった後についつい言っちゃったわ」

「そういや涼あんたこの間家にネックレス忘れてってたよ」

「あー、やっぱり綾乃んちにあったか。そうだと思って探しもしなかったわ」

わたしはこの会話を聞いて、変な違和感を覚えていた。
けれども誰もそれにはつっこみはしなかった。
涼と綾乃…。

「ねぇ?!!!」

大きな声を出すと、皆が一斉にこちらを振り返る。

「涼と綾乃ちゃんって…」

皆で顔を見合わせて、不思議そうな顔をする。けれどわたしは見逃さなかった。綾乃が視線を逸らした事を。
それと引き換えに、まるで何か?と言わんばかりにソファーに足を広げてふんぞり返るのが涼。
はるなと美優は不思議そうな顔をしてわたしを見つめていたけれど、何かに気づいたように「あ!」と互いに顔を見合わせる。