「…永瀬はバレーと私、どっちが好き?」


面白半分で、「ちょっと困らせてやろう」って、そのくらいの軽い気持ちで聞いたのに、思いのほか真面目に考えだした永瀬。

…ほら、そーゆーとこも好き。


「…何つーか、根本的に色々違う」
「え、なにそれ」
「俺にとってバレーは、夢中になる存在で。篠原は、こう…空気みたいな」
「ひどい」


好きな人にそんなこと言われたら私、心折れそうなんだけど。

いや、私じゃなくても折れると思うけど。
…そもそも好きな人じゃなくても、それなりに仲良しな人からだったら折れる。


「違くて。当たり前にいるけど、いないと生きてけない」
「は…」


それはまるで、プロポーズみたいな。

一気に私の顔は赤くなっているのだろう。

永瀬も、「って、自分で言ったくせに恥ずいな」とか言ってるし。
照れたときに口元を隠そうとするのは、永瀬の前からの癖だ。


「…そんな風に思われてたんだ……」
「俺、自分で言ったのにクサすぎる」
「そんなことないよ。嬉しいよ」


ほんと、今ひとりだったら間違いなく飛び跳ねてるくらいには。

永瀬は、そんな私の心境なんか、これっぽちも知らないんだろうな。