同中の永瀬は、中学でもバレー部で、3年のときは部長もやってた。
多分、中学のときはスタメンとやら…だったはずだ。


好きになったきっかけなんて、ほんの些細なこと。


体育で、大きすぎる障害物を巻き込んで派手すぎるぐらい派手に転んだ私を、保健室に連れていって、先生が来るまで一緒にいてくれた。ただそれだけ。

それが、中2のこと。
(ちなみに後日病院に行ったら、骨折してた)

「ちょろい」って言われたとしても言い返せないけど、私はこの3年もの間、永瀬以外に目移りしたことなんかない。


目移り…させてくれないんだよ。それなりに仲良くなっちゃって、近くにいるから「好き」が増えてくだけなんだよ。


「あー、ボールぶつけた」

「…なぁ、永瀬」

「え、なに」


おいちょっと待て、何するつもりだ須藤くん。
余計なことはすんな。…余計なことはしないでくれ。


「お前は、彼女作ったりしねぇの?」

「…今は、しねぇよ」


それは前にも聞いたから、今さら落ち込まないけど。

余計なことする気満々だ、須藤くん。
…あとで殴ってやりたい。