...アイツ?
余程いいことを思いついたのか、「ふふん」とドヤ顔を決めてみせる未央を見上げる。
あいつって誰?
「とぼけた顔しちゃってー。王子様よ。お、う、じ、さ、ま!」
「お、王子様って...」
「水谷川のことよ。水谷川榛名!」
「うぇっ!?は、榛名!?」
未央の口から飛び出して来た予想外の名前に、つい変な声が出た。
だ、誰かと思えばよりにもよって榛名!?
「む、無理無理無理!榛名は無理だよ!!」
ぶんぶんと手と首を振って全力で拒否する。
「何でよ。あんたたち幼なじみじゃん」
「そ、そうだけど...。今は仲良くないし」
昔なら簡単に頼めただろうけど、今の私には誰よりも難易度が高い相手だ。
「でも幼なじみじゃん。頼んだらきっと教えてくれるよ」
「それが無理なんだってば〜!最後に話したのなんか中1の時だよ!?」
もう3年近くまともに話してないんだよ!?
どんな顔して頼めばいいのか分かんないよ...っ!
ていうか、留年しそうなんて榛名には絶対バレたくない!
恥ずかしすぎて死ねる!
「でも水谷川って頭いいんでしょ?入学式の時代表学生だったよね」
「うぅ、まぁね。榛名は昔から勉強できるもん」
小学生のときはよく教えてもらってた。
夏休みなんか最終日によく榛名に泣きついてたなぁ。
「めっちゃ適任じゃん」
そ、そうなんだけど。
未央の言う通りなんだけど...!
「勉強教えてって可愛く言ったらいけるって」
「無理無理!何こいつって引かれて終わりだよ!」
「んな馬鹿な。あいつ絶対憂のこと...」
「むーりー!とにかく榛名には頼めない!」
