「え、ええとね。一緒に入るのは全然かまわないというか、むしろ兄弟でお風呂入るのって憧れてたから、嬉しいなって思ったくらいで……」
「佐倉」
「はい!」
あまりに低い声で呼ばれたので、反射的に背筋をピンと伸ばして返事をしてしまう。
一ノ瀬くんはポイと春陽くんを放り出すと、私の肩を強くつかんできた。
「お前、男嫌いなんだって?」
「え? あ、う、うん。京子さんに聞いたの?」
「よく見ろ。春陽は小さいが、歴とした男だ」
一ノ瀬くんにアゴで示された春陽くんは、頬をハムスターのようにぷっくり膨らませてむくれている。
はい天使。
「それはわかってるけど……春陽くんだよ?」
「春陽だってことが安全な理由にはなんねぇだろ。春陽は男で、がさつなとこもあれば、下心だってある。つくもんついてるしな」
どういう意味かわからなかったけど、春陽くんは「セクハラだ!」と怒っている。


