はあ、可愛いさが止まらない。
こんな可愛くおねだりされたら、何でも言うこと聞いちゃう。
「いいね! 一緒にできること、全部やろっか」
「ほんと!? おねえちゃん、お布団で大丈夫か心配だったんだ。ベッドの方が良かったら、僕のベッドで一緒に寝よ!」
「アホか。さっそく何ふざけたこと言ってんだ、おまえは」
「あ。一ノ瀬くん。もう着替えてたんだ」
制服から私服に着替えた一ノ瀬くんが、リビングからマロと一緒に出てきた。
Tシャツにデニムとラフなかっこうをした彼の手には、真っ赤なリードが握られている。
「ふざけてないし! っていうか、兄ちゃんマフィン食べないの?」
「いま1個食った。散歩行ってくる」
「ふうん。行ってらっしゃい」
玄関でスニーカーを履き、マロにリードをつけた一ノ瀬くん。
立ち上がると一瞬こちらを振り返り、目が合ったので慌てて「行ってらっしゃい」と声をかけた。
「……行ってきます」


