幸せにひたりでれでれしていると、突然春陽くんの華奢な身体が離れていった。
何事かと思えば、一ノ瀬くんが春陽くんの襟首をつかんでいる。
しかもめちゃくちゃ不機嫌そうな顔で、弟を見下ろしていた。
「兄ちゃん、何すんだよ!」
「春陽おまえ、いくらなんでも猫かぶりすぎ」
「猫なんて知らない! はーなーせー!」
じたばた暴れる春陽くんにため息を落とした一ノ瀬くんに、今度は私が睨まれる。
「佐倉も」
「え? わ、私?」
「簡単に男に隙見せてんじゃねーよ」
いやいやいや。
いったい何を言い出すのかと思えば。
男に隙って、春陽くんはまだ小学生じゃん。
「春陽くんだもん。大丈夫だよ」
「何が大丈夫なんだよ。お前、そういうとこだぞ」
「そういうとこって?」


