一ノ瀬家にたどり着くと、なんだか不思議な感じがした。
私、今日から毎日、ここに帰ってくることになるんだなあ。
「ただいま」
先に家に入っていく一ノ瀬くんを追って、私も玄関に立った。
「お、お邪魔します」
妙に緊張してしまって小声で言うと、靴を脱ぎながら一ノ瀬くんが振り返る。
「バカ。ただいま、だろ」
「あ。そっか。た、ただいま……?」
「何で疑問形だよ」
鼻で笑われ、頬をふくらませた。
この言い方、ほんとどうにかならないかな⁉
ぷんぷん怒っていると、廊下を駆けてくる小さな足音がして、白い塊が一ノ瀬くんに向かって勢いよく体当たりした。
「マロ。ただいま」
熱烈な出迎えをしたのは、一ノ瀬くんちの小さな一員、ポメラニアンのマロだった。
まるで「おかえり」と言うかのように高い声でキャンとほえる。


