みんなから充分離れたところで、ドキドキとうるさい胸を押さえ立ち止まる。
はあ、危機一髪だった。
「おい。いきなり何なんだ」
「あっ! ご、ごめん!」
掴んでいた一ノ瀬くんの手を慌てて離す。
一ノ瀬くんは相変わらず不機嫌そうな顔で私を睨んだ。
「で?」
「えーと。今日から、お世話になります?」
「……それだけ? わざわざあいつらから離れる必要あった?」
「そ、それなんだけど。同居のこと……みんなには秘密にしておいた方がいいよね?」
一ノ瀬くんはいぶかしげに眉を寄せる。
「何で?」
「何でって。一ノ瀬くん、嫌じゃないかなって。私と一緒に生活してるって知られて、からかわれたり、騒がれたり」
私たち、あまり仲良くはないし。
むしろそりが悪いというか、一ノ瀬くんに好かれていないだろうという自覚もある。


