私が考え込んでいると、恐がっていると思ったのか、春陽くんがぎゅうっと首に抱き着いてきた。


「大丈夫だよ、小鳥おねえちゃん! 僕が守ってあげる」

「春陽くん……ありがとう」


やっぱり春陽くんは天使だ。

性別を超越した愛らしさに、私のささくれ立った心はみるみる癒されていく。


「なるほどね。でも、ちょっとまずいわね……」


神妙な顔で、京子さんは腕を組んだ。


「あら、京子ちゃん。まずいって何が?」

「春陽はともかく、うちにはもうひとりいるから」

「もうひとり? あ、男の人? でも旦那さんは単身赴任って言ってなかった?」

「そうなんだけど……。もうひとりっていうのは、息子のこと」


京子さんに気遣うような目を向けられ、嫌な予感がした。




「うちには高校生の長男もいるの」



京子さんのその言葉に、私は春陽くんに抱きしめられながら固まってしまった。