「ちょっと山田く~ん? 気安く小鳥に話しかけないでくれる?」

「げっ。さ、佐倉」

「小鳥に声をかける時は、私に断ってからにしてくれないと、困るんだよねぇ」


小鳥と山田の間に仁王立ちする私に、彼はムッとした顔で詰め寄ってきた。

正直近寄らないでほしいんだけど、私も負けじと前に出る。


「佐倉お前さぁ、いっつも松井さんに話しかけようとすると邪魔してくるけど、一体お前になんの権利があってそうしてるわけ?」

「幼なじみの権利に決まってるでしょ? あんたこそ、何の権利があって可愛い小鳥に近づこうとしてるわけ? 自分が小鳥に相応しいとでも思ってるの?」


この! 妖精のように愛らしい、学校ナンバーワンの美少女と言われている小鳥に!

鏡を見てから出直してこいと言うと、山田は「話しかけるくらいいいだろ!」と文句を言いながらも自分の席へと戻っていった。

まったく。男なんかみんな、小鳥という美しい花にむらがるハチだ。ぶんぶんうるさくて、攻撃的で、嫌になる。