君の笑顔は、俺が絶対守るから。


「くだらねぇこと話してないで、行くぞ」

「ええ? くだらないって、ひどくない? 俺と先輩の付き合った話をくだらないって……」

「高橋。デリカシーって言葉知ってるか?」

「知ってるよ! お前にいちばん言われたくない言葉だよ!」

「いいから行くぞ」

「なんだよ、用事があるなら先に行けよ。俺は佐倉さんにいま大事な話をしてるんだから」


ねぇ、佐倉さん? と高橋くんに話を振られ、私もよくわからないままうなずいた。

一ノ瀬くんは不機嫌そうな顔のまま「さっさとしろよ!」と舌打ちしそうな勢いではき捨てると、先に校舎へと向かってしまった。


それを高橋くんと見送り、お互い顔を見合わせる。


「あいつ、何であんな不機嫌なの?」

「さあ……。私、何か気に障るようなこと言ったかなあ」


そういえば、少し前から一ノ瀬くんはあんな態度になることがあった。