あの赤いランプを、こんなにも待ち侘びたことはなかった。
何台ものパトカーが外に停まり、たくさんの警察官が一ノ瀬の家になだれこんできたのは、部屋を出てから数分後のことだった。
警察官たちは真っすぐ2階を目指し、言い争うような声が聞こえたあと、一ノ瀬くんだけが1階に降りてきて、私を強く抱きしめてくれた。
「よ、良かった、一ノ瀬くんが無事で……」
「バカ……それはこっちのセリフだ」
おでこにキスをされたけど、それをおかしく思う余裕すらなかった。
私が春陽くんを抱きしめ、一ノ瀬くんが私を抱きしめ、警察が男をパトカーへ連行する間三人ひとつに固まっていた。
何か男が叫んでいたけど、その時は一ノ瀬くんの大きな手が私の耳をふさいでくれて、呪詛はもう聞こえなかった。


