一ノ瀬くんも気づいたようで、私たちを守るように背中に隠すと、床に倒れ込み呻く影を、勢いよく蹴った。
黒い影がカエルがつぶれたような声を上げ、咳き込む。
一ノ瀬くんは肩にかけていたタオルで影の腕を縛り、それからそばにあった私のパーカーで脚も縛りつけた。
「佐倉、スマホ貸して」
影から目を離さないようにしながら、一ノ瀬くんが手を差し出してくる。
急いでスマホを手渡すと「警察呼ぶから、部屋出てて」と言われた。
「い、一ノ瀬くんは……?」
「こいつ見てる。お前は一緒の空間にいたくないだろ。春陽とリビングか、俺の部屋で待ってろよ」
「でも……」
一ノ瀬くんをひとりにできない。
私も一ノ瀬くんから離れたくない。
不安で不安でたまらない。
一緒にいたい。


