激しい雨音がなければ、近所に響き渡るような声が出た。
それに慌てたように、影が近づいてくる。
もうダメだ、と思った瞬間、
部屋のドアが勢いよく開かれた。
「佐倉!?」
新しく現れた別の黒い影が、私に迫っていた影を殴り飛ばした。
棚にぶつかり、何かが落ちる音がする。
「無事か、ふたりとも!」
「一ノ瀬くん……っ」
「兄ちゃあん!」
一ノ瀬が、助けに来てくれた。
いつもの寝間着姿で、駆け付けてくれた。
「ふたりとも、ケガは? 何かされてないか?」
震えながら涙を流す私と春陽くんをまとめて抱きしめながら、一ノ瀬くんが尋ねる。
言葉が出てこなくて、首を振ることで答える。
一ノ瀬くんの腕の中を、改めて世界一安心できる場所だと思った。
彼の背後で、男のうめき声が聞こえハッとする。


