犬が好きで、年の離れた弟とケンカして、朝に弱くて、寝顔が可愛い、等身大の男の子。
きっと、どうしたって好きになる運命だった。
「梓おねえちゃん? 大丈夫?」
「春陽くん……私」
どうしよう。
あなたのお兄さんを好きになっちゃった。
懺悔みたいな告白が口から出そうになった時、パタパタとスリッパを鳴らす音が聞こえてきた。
すぐに脱衣所に京子さんが顔を出す。
「梓ちゃん、ちょっといい? 春陽も。話があるからリビングに来て」
「あ……はい。すぐ行きます」
京子さんはうなずくとまたパタパタと忙しなく去っていく。
何かあったんだろうか。
春陽くんと目を合わせる。
天使はアイスをかじりながら、可愛らしくこてんと首を傾げた。


