君の笑顔は、俺が絶対守るから。


自分の変化に気づきはしたものの、心が追いつかない。


これは初恋だ。

はじめて男の人を好きになった。


それなのに――。


「なんでよりにもよって、彼女がいる人を……」


好きになっちゃうかなあ。


恋に気づく前から失恋しちゃってるじゃん。

しかも彼女と学校でキスしちゃうような人を好きになるなんて、本当に自分が信じられない。


でも……一ノ瀬くんだから。

恋をしてしまったのも、仕方ないのかもなあ。


だって、感じは悪いし口も悪いけど、優しい人だともう知っているから。

仲の良くない私と同居することを認めてくれて、危ないめに遭わないよう送り迎えまでしてくれるような人だから。

私が態度を悪くしても、電車では痴漢から守るよう立ってくれる人だから。


そういう一ノ瀬くんだから、好きになった。

いつの間にか、心も身体も、一ノ瀬くんの方を向いてしまっていた。