ああ……そうか。
そういうことだったんだ。
やっとわかった。
この胸のモヤモヤや、痛みや苦しみが。
私、いつの間にか一ノ瀬くんのことが……好きになってたんだ。
「ウソでしょお……」
思わずしゃがみこみ、膝を抱えるようにしてうつむいた。
こんなことってある?
私、男の人が苦手というか、嫌悪するレベルだったのに。
一ノ瀬くんのこと、感じの悪い人って思っていたのに。
同居するなんて絶対ムリって言っていたのに。
男の人を好きになんてなれるわけないって思っていたのに。
一ノ瀬くんは、私の中にあったそれらを全部取り去って、胸の奥のいちばん大事なところに、いつの間にか堂々と居座っていた。
イメージ的には長い足を見せつけるように組み、ドヤ顔で笑っている王様。
腹立たしいけど、憎めない。
それどころかいとおしい。


