君の笑顔は、俺が絶対守るから。


息がかかるほどの距離で、一ノ瀬くんが妙なことを言った。

考えるなって、何を?


「佐倉は余計なことは考えなくていい」

「余計なことって」

「お前はあの山田ってやつのこと、好きなのか? そうじゃねぇだろ?」

「それは……そう、だけど」

「だったらそれが答えだろ。好きでもない奴に告白されて付き合うのかよ?」


それは相手に対して不誠実なんじゃないのか。

そう言われて、確かにとうなずく。


好きじゃない人と付き合うなんて、ありえない。

でもそんな単純な答えでいいんだろうか。

もっとこう、好きになる努力を、とか真剣に考えなくていいのかな。


「……っていうか、一ノ瀬くんにそんなこと言われたくないし!」

「はあ? 何急に怒ってんだよ」


自分は森姉とキスまでしていたくせに、私には付き合っていないなんて嘘をついていたくせに。

そんな人にえらそうに説教なんてされたくない。