「びっくりって、ほんと能天気だな。油断してんじゃねーよ」
「能天気~? 油断とか、意味わかんない!」
相変わらず言い方が感じ悪いなあ、もう。
私が口を尖らせると、なぜか一ノ瀬くんは苛立たし気に頭をかく。
「してんじゃねぇか、油断。まさか自分が借りられるわけないとか思ってたんだろ?」
「そ、そんなことは……あるけど」
「あるのかよ。ったく……。返事とか、したのかよ」
返事って、何の?
キョトンとすると、思い切りあきれた目を向けられる。
「だから、告白の返事だよ! 付き合うのかって聞いてんの」
「ま、まさか! っていうか、告白じゃないし!」
「はあ? 頭沸いてんのか? どう考えても告白だっただろうが」
「だって……気になるって言われただけで、す、好きとか、付き合いたいとか、そういうこと言われたわけじゃないし」
「直接的に言われてなくても、あれは完全にそういうことだっただろ。わかってるくせに逃げてんじゃねーよ」


