君の笑顔は、俺が絶対守るから。




帰りの電車の中、車両の隅で一ノ瀬くんに守られるように立っていると、上から「オイ」と低い声がかけられた。


「なに?」

「今日の、何考えてんだよ」

「今日の?」


何の話か読めず、一ノ瀬くんを見上げ首を傾げる。

するとムッとした顔をされた。


「借り物競争だよ」

「ああ。何かおかしかった? 小鳥の寝顔が可愛いのは間違いないでしょ?」


まさかカードを引いて真っ先に思い浮かんだのが一ノ瀬くんの寝顔だってバレた?

内心ドキドキしていると、あきれたため息が降ってくる。


「バカ、そっちじゃない」

「そっちじゃない? どっち?」

「だから! ……その後お前、借りられてただろ。男子に」

「ああ! 山田ね。あれは……まあ。びっくりしたよね」


まさか私が恋愛系カードの対象になる日が来るなんて。

これまで色恋とは無縁で来たから、私がいちばんびっくりした。