「いいから、行くぞ! 1位いける!」

「よしきた!」


1位と聞いて私の闘志に火がついた。

よくわからないけど、クラスメイトとしてとりあえず1位はとるべきだ。


山田に連れられゴールに向かうと、途中で驚いたような顔の一ノ瀬くんとすれ違った。

一ノ瀬くんはまだ誰も、何も借りていないみたいだ。

何のカードを引いたんだろう。


考えているうちに山田と並んでゴールする。

肩で息をしながら「で、何のカードだったの」と聞けば、なぜか山田に目をそらされた。

不思議に思ったけど、放送部のインタビューでその理由がわかった。


『引いたカードは……おお! 気になっている異性!』


スピーカーから響くインタビュアーの声に、応援席が沸く。

って、気になっている異性!? 私が!?


驚いて山田を見れば、照れくさそうに頭をかく彼。


いや、なぜ照れる。

あんたが気になってるのは、私じゃなくて小鳥でしょうが。