確かにさっきは小銭を拾ってくれたし、悪い人ではないのかもしれない。

愛想はまるでないし、感じは悪いけど。

すごく悪いけど。


でも、私は高橋くんの方が何倍も優しい人だと思う。

だってあなたは、唯一私を、私と小鳥を助けてくれた恩人だから。

他とは違う、特別な人だから。


「じゃあ俺も行くね。また今度、一緒しようよ」

「うん、ぜひ!」


できれば一ノ瀬くんはいない時だと嬉しいです。

心の中でそうつけ加える私に、高橋くんはひらひらと手を振って一ノ瀬くんたちのあとを追っていった。

ああ、なんて爽やか。

きらりと光る白い歯が、より一層彼の魅力を引き立てている。


まぶしい笑顔を振りまいて去っていく一ノ瀬くんを見送り、私は拾ってもらった小銭を大事に財布にしまった。