三回連続くしゃみをしたところで、ノックの音がした。

どうぞと促せば、制服を着た一ノ瀬くんが顔を出す。


「一ノ瀬くん……ひとりで起きられたんだね」


今朝は天使の寝顔が見られなくて残念だったなあ。

毎日の楽しみだったのに。


それが顔に出ていたのか、一ノ瀬くんにあきれた目を向けられてしまった。


「珍しく寝込みを襲いに来ないと思ったら、熱だって?」

「私的には、起こしに行ってたつもりだったんだけど……」


むしろ襲われていたのはこちらの方では?


そう言おうとして、またくしゃみが出てしまう。

ぶるっと体が震え、布団をぐいっと引き寄せる。寒い。


「昨日ずぶ濡れになったからな。ったく、雨降ってんのに傘忘れるバカがどこにいるんだよ」

「あはは……。ごめんなさい」