君の笑顔は、俺が絶対守るから。


「男に慣れたっていうか、一ノ瀬くんに慣れただけな気がする……」


廊下でひとり、ぽつりと呟いた。


だって一ノ瀬くんてば、行き帰りの電車の中では必ずそばに立って守ってくれるし、小鳥たちと約束して帰る時間がズレても、迎えに来てくれるし。

この間の休みの時なんか、私が小鳥たちと外出するって言ったら、自分は特に予定がなかったのに送り迎えしてくれちゃうし。


そこまでされたら、慣れざるを得ないっていうか。


「面倒見が良いとか、意外すぎるよ、もう」


足元にマロが寄ってきて、つぶらな瞳で見上げてくる。

小さな体を抱き上げて、なぜだか熱くなる頬をごまかすように、白くふわふわな毛に顔を埋めた。


そういえば、マロに懐かれてお世話をしてるのもほとんど一ノ瀬くんなんだっけ。

私のこと、マロみたいに思ってるのかも。

手のかかる奴って。


ますます微妙な気持ちになりながら、階段を降りた。