【side:CHIAKI】


「勘ちがいしてない? 小鳥を狙うならわかるけど、私を狙ったってしょうがないじゃん」


大真面目でそんなことを言う佐倉に、軽い頭痛を覚えた。

これ、本気で言ってるもんだから手に負えない。


「だからお前は……。何でそんなに自分を卑下すんだよ」

「別に卑下してるわけじゃないんだけど。だって小鳥の方が数千倍可愛いのは事実で真理でしょ?」


小鳥小鳥って、幼なじみだかなんだか知らないが、こいつの頭の中はダチのことばっかりだ。

自分の価値とか大切さとか、そういう感覚がまるでないのが腹立つ。


「お前だって可愛いだろ」

「……は?」


ぽかんと佐倉が口を開けたのでハッとした。


しまった。何言ってんだ、俺。

こいつがあんまり自分ってものをわかってないから、ついイラッとして言ってしまった。


いや、だって、普通に可愛いだろ。

顔小さくて、スラッとして細くて、猫っぽい勝気そうな目とか、小さめの鼻とか、わりと好みだし。


絶対本人にはそんなこと言わねーけど。