やっぱり高橋くんは他の男子とちがうなあ。
だって近くを通る男子は他にもいるのに、誰も拾ってくれないし。
そう思っていると、横から大きな手が伸びてきてびっくりした。
その手の平には、きらりと光る100円玉が。
「わ。あ、ありがとう……げっ」
高橋くんの他にも拾ってくれる男子なんていたのか、と横を見て、喉から変な声が出た。
だってそこに、会いたくない人がいたから。
「げ、とはなかなかいい挨拶だな」
「い、一ノ瀬くん」
「この100円はいらないのか?」
「いるよ! どうもありがとうございます!」
慌てて100円を取り返すと、バカにするように鼻で笑われた。
相変わらず感じわる~!
一ノ瀬千秋。
高橋くんと同じクラスで、親友のような間柄の男子だ。
ふたりとも背は高いけど、高橋くんと一ノ瀬くんじゃ印象がぜんぜん違う。


